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2009年11月5日、バンコクに赴任しました。2011年9月1日、東京に戻りました。2013年10月1日、福岡に移住しました。
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はい、繋ぎの続き。

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2009年には、ビートルズのCDがリマスターされると同時に、「モノボックス」というのが限定で発売されました。マニアには、「ビートルズはモノラルで聴くべき」なんて人もいるわけですが、私はもう30年くらいビートルズファンを続けていますが、そこまでは拘りません。2009年になって、初期4枚のアルバムがステレオで発売になった一方で、「モノボックス」は限定版扱いでしたから、2009年になってビートルズの作品は、基本的にステレオが標準になったとも言えます。

しかしですね、初期のビートルズがステレオを軽視していたのは紛れもない事実です。ビートルズの初期シングル曲を見るとそれは明らかです。以下に例を挙げましょう。

デビューシングル「Love Me Do / P. S. I Love you」
ビートルズのデビューシングルである「Love Me Do / P. S. I Love you」。これは、ステレオ軽視どころか、ステレオ無視です。これら2曲はステレオ版が存在しません。当時、イギリスではビートルズに限らずシングル盤はモノラルだけだったのです。また、当時のレコード会社では、レコーディングを終えて、マスターテープができたら、マスターテープを作るにあたって使った素材(=セッションテープ)は、消去して他の録音に使い回していました。当時は、録音用のテープという物が超高価だったのです。

このシングルがイギリスで発売されたのは1962年の10月5日。もちろんモノラルで発売されました。おそらくシングル盤を発売した時点で、ステレオ版を発売する予定は無かったのでしょう。しかし、これら2曲を収録したビートルズのデビューアルバム「Please Please Me」を発売するにあたって、―これは主にアメリカからの要請だったのだと思うのですが―ステレオ盤も発売することになりました。

しかし、ステレオ盤を企画する段階で、セッションテープはもう消去されていたようで、残っているのはモノラルのマスターテープのみ。という事は、ステレオ版は作りようがありません。ということで、1963年4月26日に発売されたアルバム「Please Please Me」のステレオ盤にも、これら2曲はモノラルで収録されています。これは、旧CD、および2009年にリマスターされたCDも同様です。

CDが手元にある人は聴いてみて下さい。旧CDでも、2009年のリマスターCDでも良いです。モノラルとはつまり、スピーカーで聴くと全ての音が真ん中から聴こえて、左右の音の広がりが全く無い状態です、念のため。ヘッドフォンで聴くと、頭の真中から全ての音が聞こえてきます。そう、AMラジオみたいな感じですね。

*ちなみにLove Me DoとP. S. I Love youについては、その後、モノラルマスターすら消去(紛失?)されてしまったようで、レコード会社にテープが残っていません。よってCDは全て、何と!当時のシングルレコードをコピーしているのです!


セカンドシングル「Please Please Me / Ask Me Why」
ビートルズに興味のある人なら、“Please Please Me”は知っているでしょう。それくらい有名な曲。しかし、この曲のステレオ軽視ぶりは、ある意味スゴいものがあります。

この曲は、普通にモノラル版を作成し、モノラルシングルを発売、しかしデビューアルバムに収録するにあたって、ステレオ版を作る必要が生じたのはデビューシングルと同様です。違っていたのは、“Love Me Do”と“P. S. I Love you”は、すでにセッションテープが消去されていたのに対して、“Please Please Me”はセッションテープが一部スタジオに残っていた事。ということは、セッションテープを元にステレオ版を作る事ができます。

モノラルマスターは、セッションテープからベストな素材を選んで編集して作られました。当時の彼らにとっては、モノラルのシングルを作る事が最重要だったからです。そして、編集に使われた“ベストな”セッションテープは、モノラルマスターが出来上がった時点で、どうも消去されてしまったようなのです。ベストな演奏素材を消去するなんて!って思うでしょうが、やっぱり当時はテープが非常に高価でしたから、レコード発売用の元ができたら、素材は消してたんですね。

では、どうやってステレオ版を作ったか?ココからがステレオ軽視なのです。幸か不幸か、モノラルマスターを作るのに使われなかったセッションテープ、つまり“ベストではない”セッションテープは残っていた。これを使ってステレオ版を作ったんです。つまりベストでない演奏を編集してるんですよ。だから、“Please Please Me”のステレオ版では、ジョンが派手に歌詞を間違ってるんです。ポールもこっそり間違っています。歌詞を間違っているバージョンを発売するなんて・・・って思いますよね。でも、当時ステレオ版を作るにあたって、ベストな演奏はモノラル版作成後に消去されていたため、しょうがなく、ベストで無い素材からステレオ版を作ったってわけ。強烈なステレオ版軽視でしょ?

さらに、編集も超ラフです。この曲ではハーモニカが入る所が何ヶ所かあるのですが、特に曲のエンディング近くでハーモニカが入る所。ステレオ版で良く聞いてみて下さい。これは・・・指摘されなくても気付く人は気付くみたいです。特に自分でバンドなんかやってる人には、すごくヘンに聞こえるみたいですよ。一旦気付くと、もうメチャクチャと言っても良い、リズムの乱れぶり。

何でこんなめちゃくちゃなリズムになってるんだ・・・と言えば、“モノラルマスターをステレオ版の右チャンネルに重ねたから”となるんですが、この辺は本当にマニアックになるから省略。

でもね、手元に2009年のリマスターCD『Please Please Me』がある人は、ぜひ聴いてみて下さい。Please Please Meのエンディング近く、左から聞こえるドラムスと右から聞こえるハーモニカ/パーカッション(実はドラムスですが)が、どれほどズレているか!
*2008年以前の旧CDは、モノラルですから、リズムの乱れはありません。

ビートルズの最初期2枚のシングル盤では、ステレオ版はかなり軽視されていたのが分かると思います。ステレオ軽視は少なくとも1960年代半ばまで続きます。

ちなみに。ビートルズのステレオ版/モノラル版では、非常に些細なミックス違いが非常に多く、“間違い探し”の感覚で両者を聴き比べるととっても面白いのですが、Please Please Meに限っては、全く別の演奏なんで、“同じ所”がほとんどありません。ステレオとモノラルで、演奏・ボーカル共に全く別というのは、Please Please Meだけなんじゃないかな・・・。
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